7販売中に混乱もあったが若い男性のお客様から「僕は大丈夫です。他のお客様を優先して最後でいいです」と言われ、涙をこらえながら販売を続けた。他の号車も飲料中心に手持ちで販売、お客様のアドバイスがあり傾斜している2,3号車のお客様に比較的平坦な4,5,6号車へ移動していただいた。一部のお客様から「窓にひびが入っている」と言われたが、この列車は走らないから危険はありません、とお答えし自ら素手で窓ガラスを触って見せた。内側は保護フィルムが貼ってあり破片も落ちない触れても大丈夫と証明し、お客様も安堵された。長岡から応援が来ますので安心して下さい、車掌の放送と同じ内容で声をかけ恐怖心を少なくしようと心がけた。自分含めお客様と慰め合い空気が和んだ気がした。騒ぎは無かった。車内放送で「応援が到着し9と10号車の間から降車して長岡駅まで歩いて戻る。10号車のお客様から順次降車していただく」旨の案内があった。7・8号車の連結部分が直角に落ちていた。救援に来た人から「連結部が危険なので全員が降りるまで足元に気を付けるように」と指示があり実行した。全員が降車した後、 「歩行が困難なお客様と非常階段で降り軽トラック型の車に乗るように」言われ、長岡駅まで乗車した。車両から離れる際、10号車ヘッドライトの灯りを見た時「置いていくの」と新幹線から話しかけられた感じがした。ほかのお客様方は長岡駅へ徒歩で2時間かけて向かった様子。長岡駅でバスに乗車して待っていたら男性のお客様から「タクシーで帰ろう」と誘われ、他の女性4名も同乗し会社まで送っていただいた。2004年10月24日(日)01:05帰社、報告終了。スタッフの対応を記録されていたお客様の旅日記より車内販売の女性はとてもしっかりしていた。この先どうなるかわからない車内では食べ物よりも、のどの渇きを潤す飲み物が欲しがるところだろうか。早速飲み物の販売を始めたが直ぐ水は無くなりジュース類だけになる。優しく、かつ、きびしく、「飲み物は沢山ありますから順番に」と声をかけるとお客様もすぐに納得された。乗務されていた伊藤まゆみさんは乗客救助などの果敢な行動に対し東日本旅客鉄道株式会社より感謝状が贈られました。2011年3月当社による列車販売業務は終了いたしました
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